米経済は最近好調であり、FRBの利下げもゆっくりと、ソフトランディングどころかノーランディングでインフレ目標2%の高度を保って飛び続けるとまで言われ始め、NYダウも最高値を更新して米市場は活況を示していた。
それにもかかわらず、米国民は、バイデン現政権の一画を担って来たハリス副大統領に対し、これまで4年間の経済運営についてノーを突きつけ、暮らしが楽になる変化を期待して、トランプ氏を次期大統領に選んだ。
明らかに、国民の生活実感と市場の企業業績評価とが違ってしまっている。
昨夜(11月7日)、FRB金融政策決定会合後の記者会見におけるパウエルFRB議長の言葉の中に、これらの理解を助ける次のような言葉を見つけました。
「今の経済、需要がかなり強いことを人々は心地よく感じている。第3四半期のGDP=国内総生産の伸び率は2.8%で、これは強い経済だ。力強い成長、底堅い労働市場、そしてインフレ率の低下、これははっきりしていてアメリカ経済は世界のどの国よりも好調だ」
多くのアメリカ人が経済の力強さを実感していないことについて問われて「経済は好調だとわれわれは言っているが、人々がいまも物価高の影響を感じていることもわかっている。アメリカも世界もインフレショックを経験した。実質賃金が上昇して人々のマインドがよくなるには何年もかかる。それをわれわれは実現しようとしている。人々が自信を取り戻し、実感するには時間がかかるだろう」
アメリカでさえ、これから何年もかけて物価高を打ち消すような実質賃金の上昇に取り組まなければ国民の生活実感は良くならないと言うのだ。
OECDの中でも低い賃金に喘ぐ日本も本腰を入れて実質賃金の引き上げに取り組まなければならない。(OECD=経済協力開発機構がまとめている加盟国の平均賃金データ(2022年)で日本は38か国中、25位となっています。)
103万円の壁の見直しで一躍衆院の議席を4倍増させた国民民主党が自民党に「見直しのゼロ回答は許さない!」と強く当たっているのはこうした大きなうねり、流れなのだろう。
変われない、変えられない代表や政党は交代させるしかない。